夜を怖いと思うようになったのは
いつからだっただろうか。
桜の咲くぼんやりした夜も
蛍の光る虫の羽音が聴こえる夜も
その闇は優しくて穏やかだった。
静かに雨の降る夜は
読書にぴったりだと思った。
それなのに
いつからか夜は寂しくて怖いもの
そう思う日が増えていった。
夜を怖いと思うようになったのは
大好きな祖母が入院してからだった。
そのように思う。
愛ある人の不在、
夜を優しくする魔法。
寄り添い合える愛の言葉。温度。
わたしは優しい夜も怖い夜も知っている。