2013年11月25日月曜日

夢のつづきを見にゆくところ

夜を怖いと思うようになったのは
いつからだっただろうか。

桜の咲くぼんやりした夜も

蛍の光る虫の羽音が聴こえる夜も
その闇は優しくて穏やかだった。

静かに雨の降る夜は

読書にぴったりだと思った。

それなのに

いつからか夜は寂しくて怖いもの
そう思う日が増えていった。

夜を怖いと思うようになったのは

大好きな祖母が入院してからだった。
そのように思う。



愛ある人の不在、


夜を優しくする魔法。

寄り添い合える愛の言葉。温度。

わたしは優しい夜も怖い夜も知っている。

2013年11月13日水曜日

ルーク山脈を越えたところ


蚤の市で出会った古書に描かれていた月面図
月の海や穴、ひとつひとつに名前があることを知った。

月には人間の探究心、欲望、夢、
そういうものがたくさん詰まっている。

1969年7月20日、アポロ11号以来
何故人は月面に降り立たずいるのだろうか?
月の裏側と呼ばれるところには何があるのだろうか?

それが人の想像力を刺激する。
未知なる世界への妄想、想像、空想、、

人に夢を与える職業をアーティストと呼ぶならば
人の夢を形にする職業をアーティストと呼ぶならば

ジョン・F・ケネディアームストロング船長もまた、
アーティストと呼べるのかもしれない。

などと考えてしまうような夜。


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「うさぎスマッシュ」を観に行ってからというもの、
「人と夢」ということを考える日が多くなった。


Sputniko! - The Moonwalk Machine - Selena's Step

スプツニ子! 「ムーンウォーク☆マシン、セレナの一歩」

東京都現代美術館

うさぎスマッシュ展 世界に触れる方法(デザイン)

会期:2013年10月3日(木)― 2014年1月19日(日)


2013年9月29日日曜日

夜を駆けぬけて


いのちといのちが ぶつかる音を聴いたの

(原田郁子「青い闇をまっさかさまにおちてゆく流れ星を知っている」)

2013年7月21日日曜日

海の日



 

彼女が入退院を繰り返し始めたのは
いつのことだったろうか。

病院生活が続いた後、
やっと家へ帰ってきたときには
ベッドで過ごすことが多くなった。

昔は敷き布団で一緒に眠っていたけれど、
退院してしばらくしてからは
身体を起こしやすいようにとベッドが導入された。

わたしはその頃あまり家にいなかった。
高校受験を控えて、塾に通う毎日だった。
勉強しかしていなかった。
睡眠時間はどんどん減って、親に心配された。

それ以外に彼女という事実から
目を背ける方法を知らなかったし、
直視する勇気がなかった。
知りたくなかったという方が、正しい。

高校に入学してからは毎日部室に入り浸った。
病院に行くことは恐怖でしかなかった。
衰弱していく彼女を見ることは
心臓を締め付けるように苦しいことだった。

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そうこうしているうちに高1の春は過ぎ、夏が来た。

海の日。

元気な彼女に会った最後はいつだったか。
全然覚えていない。
最後に交わした会話の内容も。

彼女の最後を看取ることは許されなかった。
子供達には酷だと家に帰された。
信号待ちをしている車の中で、
彼女が亡くなったことを知らされた。

お葬式では泣けなかった。

死んだ、という事実を受け入れられなかった。
骨になった彼女を壷に納めるときさえ
それが人間だったものだと思えなかった。
彼女であったものだと、信じられなかった。

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毎朝毎晩仏壇に線香を上げ、お経を読む声。
鍬で畑を耕す姿。
リビングには専用の座席があって、
ブラウン管テレビで野球と相撲と時代劇を見ていた。

わたしが思い出せる彼女はいつだって元気だ。

おばあちゃん。

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大好きだったのに、
あんなに大好きだったのに、
思い出せる顔や声、姿はどんどん減ってきて
思い出す日もどんどん減ってきて
そんな自分にうんざりする。

もしも天国があったなら
いつか再会することは出来るだろうか。
おじいちゃんには会えただろうか。

どうか、安らかに。
また会える日まで。



2013年5月12日日曜日

Spring Journey








出逢いと別れの季節。

出逢うことは終わりの始まり。
難しいことを考えるのは時々で良い。

そんなことより、旅に出よう。

2013年3月26日火曜日

waver

 

ゆらぐ、

いつだって、

いつだって何だっておだやかに、
おおらかに、
そう、受け入れたいと

思ってる。


思っているんだよ。


2013年3月14日木曜日

Baby

 
当たり前の毎日を、大切に、重ねていくこと

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今日のわたしは昨日のわたしから生まれました。
昨日のわたしは一昨日のわたしから。
そしてわたしは明日のわたしのために。

2013年2月22日金曜日

夜間遊泳

 
凛(りん)

音の響きが好き。
漢字の形(さんずいへんじゃないあたりとか)、
読み方、声に出したときの音も好き。
鈴のような、一滴の水が落ちる瞬間のような音。
「ん」を声に出したときに残る余韻も。

凛とした姿が好きだ、とよく思う。
たとえば庭の片隅でこっそり、でも
堂々と咲いているスズランや水仙。
着物を着、しゃんとした姿で佇む人。

凛とした、というと
とても繊細で強いもの、というイメージがよぎる。
どうやら本当は「勇気がみなぎる」さまらしい。

勇気凛々、
わたしには似合わない言葉だ。

陳腐な言葉しか並べられないけれど、
いろんなものを乗り越えて、いつか
わたしも「凛とした人」になれたら良いな、と思った。