2012年12月21日金曜日

お布団の話。




















 
わたしはおばあちゃんが大好きで
幼い頃は、親とではなく、おばあちゃんと
おばあちゃんのお布団で眠るのが好きだった。

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おばあちゃんは眠る前に絵本を読んでくれて
「ぷーさん」のことを「ぶーさん」と呼んだ。

一人で眠れるようになってからも
怖い夢を見ると決まって
おばあちゃんのお布団へ逃げ込んだ。
中学生になっても、それはずっと続いた。

寒い夜も決まっておばあちゃんのお布団へ潜った。
(おばあちゃんはとってもあったかいのだ。)
いつも「あんたの足は冷たい」と笑いながら
おばあちゃんはわたしの足を足で挟んで温めてくれた。

おばあちゃんのお布団は温かくて、
おばあちゃんの匂いがして、安心した。
守られている、という気がした。
 
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「いつ死ぬかわからないから遺影用に撮って」

いつからだったか、おばあちゃんは旅行へ行くたびに
そう言ってわたしに写真を頼むようになった。

この前実家に帰った時、
おばあちゃんの使っていた部屋で布団を敷いて寝た。

壁にはおばあちゃんの遺影。
わたしが中学生の時、旅行先で撮ってあげたやつだ。

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おばあちゃんは年に数回、
泣きながら起きてくることがあった。

その時は決まって「おじいちゃんの夢を見た」と言った。

10年以上前に他界していても夢に出るなんてびっくりだ。
そう思っていた。

でも、そうではなかった。
全然驚くようなことではなかった。

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わたしも、おばあちゃんと夢で会ったのだ。
他界して9年経っても、夢の中のおばあちゃんは
きちんと、わたしの知っているおばあちゃんだった。

わたしはそのことに心からほっとした。
そして会いたくなって、あの温かさが懐かしくて、
寂しくて、少しだけ泣いた。